フィンランドの教育制度
フィンランドの教育制度は、義務教育である総合学校、義務教育後の一般教育及び職業教育、高等教育(大学・大学院教育)、成人教育から成り立つ。2000年より就学前教育も義務化、各保育所で6歳児を対象に実施。
教育は公用語であるフィンランド語又はスウェーデン語を話す少数派(人口の6%)にもフィンランド語を話す人々と同等の教育機会が保障されている。
■総合学校(義務教育)
フィンランドでは、義務教育を受けることは、総合学校を終了することを意味する。7歳(特別な場合は6歳)で就学し、その後、就学前学校を含めると(特別な場合は6歳から)10年間が義務教育。義務教育は障害児にも適用され、通常の総合学校で教育を受けられない児童は、6歳から2年の準備教育を経て11年、個々の障害の程度によって専門的な教育を受けたり、特別学校や特殊学校へ通う。実際、この年代のほぼ全員が義務教育を受けており、総合学校の終了資格を取得しない生徒はわずか0.04%に過ぎない。
総合学校の教員なるためには修士号の取得が義務づけられている。初等課程の学級担任は教育学部卒の教員が受け持ち、各科目の担当教員には各専門科目と教育学、教職課程の修了が義務づけられている。
総合学校教育は国の総合教育方針と教育課程の指導基準に従って行われているが、地方自治体が実際の教育カリキュラムを編成し、各学校は年間の履修計画を立てている。1994年度の教育課程制度の改革以降、より自由な科目編成の権限が学校側に与えられるようになった。
総合学校教育はすべての生徒に無償で提供され、各地方自治体はその地域在住の義務教育就学学齢児童全員に、総合学校教育を受ける機会を与えなければならない。
■義務教育終了後の教育
総合学校を卒業した者は、高等学校または職業専門学校に進学。義務教育終了後の教育プランのひとつとして、職業専門学校の卒業資格取得と高等学校の教育カリキュラム終了の両方を可能にする、幅広い選択肢を提供しようとする試みも行われている。
ここでは、生徒が職業専門学校と高等学校の両方から授業を選択することができる上、両方の卒業資格を兼ねた終了書が与えられる。
1995年には総合学校卒業生の約半数がそのまま高等学校に進学し、約31%が職業専門学校に進んでいる。どちらの教育機関も無料。
1980年代以降フィンランドの教育基本政策はすべての対象年齢層に職業専門教育か高等教育を提供することを基本理念としてきた。フィンランドの教育基本政策はすべての対象年齢に一般高等教育か職業専門教育を提供し、さらに大学教育も対象年齢全体の60〜65%に提供することを目的としている。
■高等学校
高等学校は大学進学をめざす生徒に普通教育を行うところで、生徒は高等学校で3年間勉強した後、国が行う大学入学資格試験を受けるか、イギリスのポリテクニック(総合技術学校)にも似たAMK学校、あるいは職業専門学校で勉強を続けるかを選択する。
高等学校の教育課程は、かなり均一化されているが、語学、科学、スポーツ、音楽、美術に特化した専門高校もある。1994年の教育課程改革後、選択科目の範囲が広がり、各学校が以前よりも個性を出せるようになった。
高等学校の授業は科目別の単位制で行われ、学年制はない。学生の学力によるクラス分けはなく、学生は4年以内に各自のペースで単位を取得。
高等学校は全国を網羅するように配置され、1995年度には全日制の高等学校が約440校あり、109,000人以上の生徒が通っている。そのうち約6%はスウェーデン語で授業が行われ、成人向けには夜間の高等学校もある。
■主な職業教育
職業学校でのコースは3つのレベル(学校、高等学校、高等職業専門学校)からなり、対象は、総合学校及び高等学校の卒業生。新高等職業カリキュラムが採用された1995年秋以降、継続資格取得に関する新システムが施行され、翌年秋には、このシステムが大学にも導入された。
現在、職業学校では約160職種に及ぶ高等職業教育を提供、終了するには2〜3年を要する。職業教育は総合学校の卒業者向けに用意されたもので、基本的な職業資格取得への道を開く。これまでは専門性の高いコースが用意されていたが、最近はより広い範囲をカバーするカリキュラムが提供されるようになった。これにより、学生にはより多くの選択肢が与えられるようになり、異なった専攻分野(例えば貿易と産業、社会政策と健康)からコースを選択したり、試験的に一般高等職業教育からのコースを選択することもできるようになった。
高等職業教育の資格規定は2000年までに改訂され、提供される授業内容が多様化された。さらに名称が簡略化され、すべてのコースが3年で終了するように標準化された。また将来的には、資格取得に際し、6カ月のOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)、実地研修が義務化される。
フィンランドの職業教育は様ざまな機関によって提供される。産業関係向けの職業教育は通常、多くの専門分野を抱える職業学校によって提供され、それぞれの機関がその専門分野に特化している。しかし、より広範囲な学問分野を提供するために、より学際的な職業学校が専門分野の職業学校を吸収合併することにより誕生している。
職業教育機関のほとんどは単一か複数の自治体によって運営されており、その他は国立もしくは私立の施設で、いずれの機関も国から補助金を受けている。さらに市民大学、音楽や体育の専門学校でも職業専門教育を提供している。
また、他に、通常の職業教育に代わり、見習い制度による職業訓練も提供されている。見習い制度による職業訓練教育は文部省の管轄で、地方の教育委員会が管理。見習い制度契約には基礎訓練と専門訓練の両方が含まれる。フィンランドでは見習い制度による職業教育訓練は一般的ではなく、通常の職業訓練のわずか5%に過ぎない。しかし、1993年度に制度改革が実施され、そのシステムがより柔軟になった結果、見習い制度契約数が増加、最近の政府の教育改革計画では、高等職業訓練レベルで学ぶ学生のうちの20%に対し、見習い制度契約を確保することを目標としている。加えて、企業内の見習い制度訓練もすべての職業訓練学校において、資格認定に含められることになる。
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フィンランドの教育制度
■高等教育
フィンランドの高等教育は大学機関と大学以外の高等教育機関で提供されている。大学以外の高等教育機関には、AMK学校や職業専門学校などがある。
また、大学卒業後は海外に留学する場合が多く、大学内においても海外との交流を深めていくことが1980年代以降の重要課題となっている。近年は海外留学や、交換留学プログラムに参加したりする生徒が増加しているための、フィンランド国内への留学生も増加する傾向にある。AMK学校でも、そのスタート当初から海外との交換を開拓するよう要請されていた。AMK学校の多くはヨーロッパ諸国の教育機関と緊密な関係を確立しており、中にはビジネス分野での提携を行っているところもある。交換留学生比率のバランスをとるため、大学やAMK学校は外国語による授業を増やし、現在、すべての大学と一部のAMK学校において外国語によるコースやプログラム、場合によっては学位取得プログラムが提供されている。最も一般的な外国語は英語。
■大学教育
フィンランドには大学が20校あり、内総合大学は10校、単科大学は10校。そのうち3校は経済・経営学、3校は工学・建築学、その他、音楽、工芸デザイン、造形美術、演劇・舞踏が各1校である。大学のネットワークは全国を網羅。スウェーデン語系大学は2校あり、フィンランド語系大学でも、スウェーデン語で授業を行っているところもある。
大学はすべて国立で文部省の管轄下にあるが、教育・研究のみならず、学内の問題については広範な自治が認められている。大学予算の4分の3は国によって賄われ、国家予算の約3%、教育・研究・美術分野での総支出の約19%を占めている。文部省と大学による管理システムでは、大学の運営費は、基本財源(90%)、パフォーマンス・ベースの財源(5%)、そしてプロジェクト財源(5%)の3つから成り立っている。プロジェクト財源は、新規研究や国家的意義を持つ教育プロジェクトにあてられる。大学の授業料は無料で、民間からの資金は全予算のわずか3%にすぎない。
毎年、高等学校卒業生のうち約60%が大学入学資格を取得し、通常、大学1年生の大半は入学に必要な大学入学資格試験を受けているが、1980年の職業教育改革の結果、わずか4%ではあるが、職業教育過程を経て大学に入学する学生も誕生した。これにより、大学入学の機会が、単科大学レベルや高等職業教育終了資格を持つ学生にも拡大されたわけである。このような大学進学方法は以前は分野が限られていたが、1991年以降は全学部が対象となっている。政府は教育及び研究面における発展計画を考案し、各学科ごとの大学卒業生数を増加させる目標を掲げ、必要な労働力の試算を行っている。各大学は文部省との年次交渉により、採用学生数を調整し、すべての学問分野に、例えば「制限入学」などの規定が多く定められている。大学進学希望者のうち、入学が許められるのは半数以下で、入学者数は学科によって大きく異なる。大学は独自の選考基準に従って、志望者の中からこの基準に見合った人を合格者として選定する。
大学教育は、基本的に研究と教育の統合をめざしている。芸術系大学も含め、すべての大学で大学院卒業の資格が得られる。過去10年間で博士号取得者の数は2倍以上になっている。博士課程における教育は多彩な方法で多様化、強化されてきている。1995年度には新たな大学院制度が、研究者の養成を補完する目的で実施され、現在では、約100の国家研究機関が、博士課程を修了した学生に約1,000人分の正研究員枠を用意している。大学院教育は、複数の大学間との特別合同プログラム発足、新しい国際関係の確立、産業界や実業界との協力関係の促進など、様ざまな面で強化されてきている。
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