フィンランドでは、義務教育を受けることは、総合学校を終了することを意味する。7歳(特別な場合は6歳)で就学し、その後、就学前学校を含めると(特別な場合は6歳から)10年間が義務教育。義務教育は障害児にも適用され、通常の総合学校で教育を受けられない児童は、6歳から2年の準備教育を経て11年、個々の障害の程度によって専門的な教育を受けたり、特別学校や特殊学校へ通う。実際、この年代のほぼ全員が義務教育を受けており、総合学校の終了資格を取得しない生徒はわずか0.04%に過ぎない。
総合学校の教員なるためには修士号の取得が義務づけられている。初等課程の学級担任は教育学部卒の教員が受け持ち、各科目の担当教員には各専門科目と教育学、教職課程の修了が義務づけられている。
総合学校教育は国の総合教育方針と教育課程の指導基準に従って行われているが、地方自治体が実際の教育カリキュラムを編成し、各学校は年間の履修計画を立てている。1994年度の教育課程制度の改革以降、より自由な科目編成の権限が学校側に与えられるようになった。
総合学校教育はすべての生徒に無償で提供され、各地方自治体はその地域在住の義務教育就学学齢児童全員に、総合学校教育を受ける機会を与えなければならない。
総合学校を卒業した者は、高等学校または職業専門学校に進学。義務教育終了後の教育プランのひとつとして、職業専門学校の卒業資格取得と高等学校の教育カリキュラム終了の両方を可能にする、幅広い選択肢を提供しようとする試みも行われている。
ここでは、生徒が職業専門学校と高等学校の両方から授業を選択することができる上、両方の卒業資格を兼ねた終了書が与えられる。
1995年には総合学校卒業生の約半数がそのまま高等学校に進学し、約31%が職業専門学校に進んでいる。どちらの教育機関も無料。
1980年代以降フィンランドの教育基本政策はすべての対象年齢層に職業専門教育か高等教育を提供することを基本理念としてきた。フィンランドの教育基本政策はすべての対象年齢に一般高等教育か職業専門教育を提供し、さらに大学教育も対象年齢全体の60〜65%に提供することを目的としている。
■高等学校
高等学校は大学進学をめざす生徒に普通教育を行うところで、生徒は高等学校で3年間勉強した後、国が行う大学入学資格試験を受けるか、イギリスのポリテクニック(総合技術学校)にも似たAMK学校、あるいは職業専門学校で勉強を続けるかを選択する。
高等学校の教育課程は、かなり均一化されているが、語学、科学、スポーツ、音楽、美術に特化した専門高校もある。1994年の教育課程改革後、選択科目の範囲が広がり、各学校が以前よりも個性を出せるようになった。
高等学校の授業は科目別の単位制で行われ、学年制はない。学生の学力によるクラス分けはなく、学生は4年以内に各自のペースで単位を取得。
高等学校は全国を網羅するように配置され、1995年度には全日制の高等学校が約440校あり、109,000人以上の生徒が通っている。そのうち約6%はスウェーデン語で授業が行われ、成人向けには夜間の高等学校もある。
■主な職業教育
職業学校でのコースは3つのレベル(学校、高等学校、高等職業専門学校)からなり、対象は、総合学校及び高等学校の卒業生。新高等職業カリキュラムが採用された1995年秋以降、継続資格取得に関する新システムが施行され、翌年秋には、このシステムが大学にも導入された。
現在、職業学校では約160職種に及ぶ高等職業教育を提供、終了するには2〜3年を要する。職業教育は総合学校の卒業者向けに用意されたもので、基本的な職業資格取得への道を開く。これまでは専門性の高いコースが用意されていたが、最近はより広い範囲をカバーするカリキュラムが提供されるようになった。これにより、学生にはより多くの選択肢が与えられるようになり、異なった専攻分野(例えば貿易と産業、社会政策と健康)からコースを選択したり、試験的に一般高等職業教育からのコースを選択することもできるようになった。
高等職業教育の資格規定は2000年までに改訂され、提供される授業内容が多様化された。さらに名称が簡略化され、すべてのコースが3年で終了するように標準化された。また将来的には、資格取得に際し、6カ月のOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)、実地研修が義務化される。
フィンランドの職業教育は様ざまな機関によって提供される。産業関係向けの職業教育は通常、多くの専門分野を抱える職業学校によって提供され、それぞれの機関がその専門分野に特化している。しかし、より広範囲な学問分野を提供するために、より学際的な職業学校が専門分野の職業学校を吸収合併することにより誕生している。
職業教育機関のほとんどは単一か複数の自治体によって運営されており、その他は国立もしくは私立の施設で、いずれの機関も国から補助金を受けている。さらに市民大学、音楽や体育の専門学校でも職業専門教育を提供している。
また、他に、通常の職業教育に代わり、見習い制度による職業訓練も提供されている。見習い制度による職業訓練教育は文部省の管轄で、地方の教育委員会が管理。見習い制度契約には基礎訓練と専門訓練の両方が含まれる。フィンランドでは見習い制度による職業教育訓練は一般的ではなく、通常の職業訓練のわずか5%に過ぎない。しかし、1993年度に制度改革が実施され、そのシステムがより柔軟になった結果、見習い制度契約数が増加、最近の政府の教育改革計画では、高等職業訓練レベルで学ぶ学生のうちの20%に対し、見習い制度契約を確保することを目標としている。加えて、企業内の見習い制度訓練もすべての職業訓練学校において、資格認定に含められることになる。