オーロラ講座
◆ なぜ光るのか?
宇宙(太陽)から飛んで来る電気を帯びた粒子(プラズマ)が地球の大気と衝突し、その時発生するエネルギーが光となったのがオーロラだ。光りを放つ原理は、家庭にある蛍光灯やカラーテレビと似ている。カラーテレビのしくみは、裏ぶたの近くにある電子銃と呼ばれる装置から電子が放出され、ブラウン管の中でスピードを上げ、前面の蛍光面に衝突して発光するというもの。オーロラの場合、電子を放出するのは太陽の外側の大気「コロナ」で、画面に相当するのが地球の上層大気ということになる。テレビ番組をつくるのはテレビ局だが、自然のテレビ「オーロラ」の制作や画像調整は、地球の磁気圏(地球磁場の勢力範囲)内のプラズマ分布や電磁場の変動が担当しているわけだ。いいかえると、自然が脚本を書き、太陽と地球の相互作用で制作された番組が、空一面のダイナミックな超大画面に映し出されるのを、人間は地球から見上げていることになる。
◆ どこで見られるのか?
オーロラは極に近づくほどよく見られると思われている。しかし、極点まで行くとオーロラの発生はむしろ少なくなる。オーロラがもっともよく現れる場所は、極を取り巻いてベルト状に分布しており、この領域はオーロラ帯と呼ばれている。南半球にもこうしたベルトがあり、地球は極を取り巻く2つの冠をかぶった状態になっている。この場合の極とは一般的にいう地理上の極のことではなく、地球の磁場の極のことを指し「磁極」と呼ぶ。磁北極はグルーンランド北西部に、磁南極は南極大陸にある。オーロラが出現する確率は、地球のもつ磁場から決まる「地磁気緯度」をもとにしなければならない。オーロラがもっともよく見えるオーロラ帯は、地磁気緯度で65〜70度の地域で統計上は1年に200日以上も見られることになっている。(図参照)フィンランドのラップランドは地理上の緯度で65度以北にあり、地磁気緯度でも65〜70度に相当する、というユニークな場所である。
◆ オーロラの高さは?
オーロラは、地上100km〜500kmぐらいの高さで光っている。ちなみにオーロラカーテンの下縁の高さは富士山の30倍くらいの高度になる。最近問題になっている、オゾン層の高度は20〜30km、スペースシャトルは200km〜400km、人工衛星は1000km〜数万kmの高度を飛んでいる。アメリカやヨーロッパへ飛行機で行き来するとき、機内の窓からオーロラが見えることがある。飛行機から見えるオーロラは、窓の高さと同じ程度に感じる人が多いが、これは地球がまるいので遠くに見えるオーロラが自分と同じ高さに見えることと、カーテンのヒダに沿って光が降り注いでくるので低い位置にみえるような錯覚によるもの。行けども行けどもオーロラの中に入り込めないのは、飛行機の高度がわずか約10kmだから、無理もないことである。
◆ なぜカーテン状になるのか?
オーロラがカーテン状になるのは地球の磁場の向き(磁力線の向き)と密接に関係がある。カーテンを特徴づけているのがヒダ。オーロラカーテンのヒダは、実は観測地点の地球磁場の方向を表している。つまり、磁力線に沿っているということだ。したがって、ヒダの角度を見れば、その緯度(地磁気緯度)の見当がつく。緯度が高くなればなるほど、ヒダは鋭直に近くなり、低緯度ほどその角度は寝てくる。どのヒダも磁力線に向いているので、遠方からカーテンを眺めれば、比較的シンプルな形に見える。観測者がカーテンに近づけば近づくほど、また、ヒダの揺れ具合が大きくなればなるほどオーロラカーテンは複雑な形に見え、ダイナミック感が迫ってくる。カーテンが頭上に来て、その真下から見上げれば、まさに天の穴から光りが吹き出しているようなコロナ型と呼ばれているオーロラに出会える。それはまるでオーロラに包み込まれるようにさえ感じる。
◆ なぜ、いろいろな色があるのか?
宇宙から飛んでくる電気を帯びた粒子が大気中のどんな種類(分子や原子)の大気とぶつかるのかによって、色にバリエーションができる。たとえばもっとも多く見られる白っぽいグリーンと、赤い光は酸素原子との衝突から、また、ブルーは窒素分子との衝突からという具合。
オーロラの光は基本的には大気成分の大部分を占める酸素と窒素からの光であるが、大気中の原子や分子がオーロラ粒子に衝突されてから光を放つまで、それぞれ特定の反応時間があるため、オーロラの高さと色にも一定の規則性がある。たとえば酸素原子が赤い光を放つには約110秒必要で、空気が薄い250km以上の上空でなければ赤い光は出ない。一方、窒素分子のブルーの光が出るには短い反応時間ですむため、空気の濃い100kmでも光ることができる。したがって、オーロラの光を観測すると、上層大気にどんな原子や分子が存在しているのかもわかることになる。また、酸素や窒素が光を放っているわけで、オーロラは珍しい「天上の光」ではなく、「地球の光」であるともいえる。
「虹の色とオーロラの色の数はどちらが多いか?」私たちは、だれから教えられることもなく、「虹は7色」と思い込んでいる。実際、「理化学辞典」(岩波書店)にも7つの色が記されている。しかし、虹というのは太陽の光が大気中の水滴で屈折・反射し、波長によって分かれたもので、いくつと数えられるものではなく連続的である。それでも、あえて答えるとしたら、「無限に色をもつ」ということになる。オーロラの色の数は大気成分で決まり、有限であるから、上のクイズの答えは「オーロラの方が色は少ない」が正解だ。「7色に輝くオーロラ」というキャッチフレーズを見たことがあるが、この表現は誤りだ。
◆ オーロラと天気の関係は?
オーロラの発生と気温の間に直接の因果関係はない。オーロラは宇宙の現象なので、地上の天気や気温にその発生自体が支配されるはずはない。オーロラは寒いから現れるのではない。オーロラは雪が降っていたり、曇っていればよく見えないが、晴れている日は、いわゆる放射冷却が効率よく起きて、そんな夜はよく冷える。見る条件が整うと寒くなるにすぎない。
◆ オーロラ予報はできるか?
「オーロラの予報はできるのだろうか?」答えは「イエス」であり、「ノー」でもある。オーロラができる過程が全部わかってしまえば、もちろん「イエス」であるが、現在の知識えは到底その段階には達していない。オーロラの科学がまだ完成していないという意味で「ノー」なのである。しかし、完全なノーでもない。"夕焼けがきれいならば、明日の天気はいい"といった「経験則」がオーロラに関してもいろいろある。たとば、太陽風のスピードが速く、さらに大黒点群やフレアーが発生すると2、3日後にはみごとなオーロラが出ることがある。フレアー発生から、リアルタイムで入る各種のデータを調べ、的確な判断でオーロラ発生の予報を出すことができないわけでもない。この場合、刻々と入ってくる人工衛星による太陽風の観測データが力を発揮する。また、別の側面からの予報もできる。太陽は27日周期で自転しているから、一度、大磁気嵐が発生すると、27日後に太陽表面の活動域がまた地球のほうを向いてオーロラが発生することがしばしばある。そのときを狙ってオーロラ見物に出かければ、ほとんど確実にオーロラを見ることができるわけである。
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